野口悠紀雄先生が語るアフターコロナについて
2020年5月15日(金)
こんにちは。
ファイナンシャルプランナーの工藤清美です。
GW明けの5月7日、
私が所属するファイナンス稲門会で、
現在
早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター
顧問でいらっしゃる、
野口悠紀雄先生の
オンラインセミナーを開催しました。
野口先生は、
私が大学院生だったときに
ファイナンスの基礎をご教授下さった先生です。
数々の著書も出版され、
「超~」シリーズなどは有名ですね。
そんな野口先生に
「新型コロナに対する経済対策と、
”コロナ後”の日本経済」
についてお話いただきました。
ZoomとYou tube配信という
今ならではのツールを駆使し、
100人もの方が参加されました。
野口先生から許可をいただいたので、
公的な数字などで内容を補足しながら、
お話をまとめてみたいと思います。
(注:内容は5月7日時点のものです)
◆コロナショックの経済への影響は
過去に例のないもの
IMFの発表では、
今回のコロナショックにより、
2020年のGDPは、世界ー3%、
先進国ー6.1%、
米国-5.9%、
ユーロ圏-7.5%、
日本-5.2%
に減速すると予想しています。
5月1日の日本経済新聞では
百貨店各社の2020年4月の売上高は
前年同月比7~8割減と報道しています。
日本航空の2020年3月の乗客者数は
前年同月比国内線-57.1%、
国際線は-73.8%。
経済への影響は
過去にないものになるでしょう。
◆中央銀行により金利は抑えられているが…
野口先生は主に以下の点について
注目していく必要がある
とお話しされました。
・財政問題を今後どうするのか?
・自粛が長引いた場合の補償をどうするのか?
・自粛解除の条件を数字等で明確に提示すべき
・経済的損失と補償をどうすべきなのか?
・V字回復の可能性は、今のところわからない
今、日本では営業の自粛等が行われ
その補償として、協力金や
一人一律10万円の配布
その他、緊急融資などが行われています。
これにより財政赤字が拡大します。
つまり
国債の増大
↓
金利の高騰
↓
日銀の国債購入により金利高騰を抑える
↓
実際の金利は低下
ということが行われています。
しかし、
国債残高が積み上がっている
ということは事実です。
今は中央銀行が入っていることで
金利は抑えられていますが、
今後どうなるかはわかりません。
今後、この点には
注視していく必要があります。
また自粛が更に続く場合
経済的支援がどうなるのかも重要な問題です。
今度どうなったら自粛が解除されるのか
明確な条件が記されていない、
ということも問題です。
感染症については
ある程度数字で議論できる問題でもあります。
そのあたりをきちんと提示し、
今度の予測ができるように
しなければならないと思います。
コロナ後の経済回復について、
IMFは2021年のGDPは
世界5.8%
先進国4.5%
米国4.7%
ユーロ圏4.7%
日本3.0%
の成長と予測しています。
しかし、本当にV字回復が可能なのかは
今のところ分かりません。
IMFの悲観シナリオでは
・パンデミックが長期化する
・第2波の流行が起こる
などが生じれば、
2024年までは規制が続き
経済成長もマイナスが続くと
予想しています。
◆中国の責任問題は?
今回の新型コロナのパンデミックは
中国から発生しました。
今後中国の責任問題がどうなるのかも
注目されます。
米国や欧州が中国への訴訟を検討していますが、
中国がそれらに対してどう対応していくのか…。
中国が誠実に対応しなかった場合
中国の世界的な立場に
大きな影響を与える可能性もあるでしょう。
◆アフターコロナは世界秩序が変わる?
アフターコロナの世界は、
これまでの世界の秩序が
このまま続くとは考えられません。
これまで隠れていた様々な問題が
表面化する可能性もあります。
グローバル化については2つの側面があります。
1 経済的側面
2 国際協調
経済的側面のグローバル化、国際分業は
全く同じ形ではないかもしれませんが
今後も続くでしょう。
国際分業は今後も必要です。
一方、国際協調については、
今、様々な問題が生じています。
EUは今回のコロナショックにおいて
国際協調を実現できているかというと
疑問があります。
ドイツがイタリアやフランスなどに
援助しているかというと
できていません。
WHOも今回の危機において
正しく機能しているかというと
疑問が残ります。
◆今後、日本の働き方は成果が問われる
リモートワークは昔からありましたが、
コロナショックにより
強制的に皆が利用するようになりました。
これにより、
働き方が変わる可能性はあります。
ただし、そのためには
在宅勤務でどれだけ成果を
向上できるのかが重要です。
今まで日本の会社では
「そこにいる」
ということが重要視されてきました。
しかし、リモートワークでは
「そこにはいない」ので
具体的な成果が求められます。
日本の評価制度や働き方が
大きく変わる可能性はあると思います。
その他、医療や学校なども
大幅に効率化され、
変わるか可能性もあるでしょう。
野口先生、貴重なお話し
ありがとうございました。
参考資料
IMF
https://www.imf.org/en/Publications/WEO/Issues/2020/04/14/weo-april-2020
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