お金は3つの財布で管理する(後編:お金を管理の仕方)


 
こんにちは、ファイナンシャルプランナーの工藤清美です。
 
あなたは、90歳時点で資産が7000万円になるのと、1000万円になるのと、どちらがよいですか? お金の管理の仕方だけで、これほどまでに資産残高は変わってきます。
 
今日は、「将来のために今のお金をコントロールする」の後編:「お金の管理の仕方」についてみていきましょう。
 
お金の管理は、「時間軸で分ける」という考え方があります。短期・中期・長期の3つのお財布に分けて、お金を管理していきます。
 
 
【図表1】

 
 

◆短期資金は換金性が大事
 
短期資金とは、日々の生活費、緊急時のためのお金となります。なので、換金性がとても重要です。いざというときには、すぐに現金化できるようにしておく必要があるため、普通預金や定期預金などに置いておくことをお勧めします。
 
金額としては、半年~1年分程度の支出額を用意しておくと良いでしょう。住宅ローンなどがある方は、ローンも含めた年間の支出額を確保しましょう。とりあえず半年~1年分あれば、何か急な出費があったとしても、安心です。
 
 
◆中期資金は確実性が大事
 
中期資金とは、この先10年以内に使う予定のあるお金をいいます。
 
留学に行きたい、
子どもを私立に行かせたい、
住宅を購入したい
起業したい・・・
 
あなたは、この先10年以内にどのようなことをしたいですか? そして、それを実現するためには、どのくらいの資金が必要ですか? このようなことを整理して、中期資金を試算してみましょう。
 
中期資金は、近い将来に使う予定のあるお金なので、確実に貯めていくことが重要です。時間軸にもよりますが、定期預金や国債など、元本割れしないものが良いでしょう。
 
以前は、これらにプラスして、貯蓄性のある円建ての保険も選択肢としては”あり”だったのですが、今はあまりお勧めしません。保険の場合は、途中で解約した場合には大きく元本割れしてしまいます。また、現在は満期まで保有していても、元本割れしてしまう商品もあります。
 
保険は、あくまでもリスクをカバーするためのものだと、私は考えています。貯蓄目的で保険を利用するのは、今の経済状況下では、賢い方法とは思えません。
 
 
◆長期資金で資産運用を
 
長期資金は、しばらく使う予定のないお金になります。ここで、収益性を求め、資産運用を行っていきます。
 
資産の形としては、株式や債券、国内の商品、海外の商品など、異なる資産に分けて、分散投資をしていきます。
 
株や債券に投資をするといっても、個別の株式や債券を選ぶ必要はありません。株式や債券に投資をする投資信託などを選べば、個別銘柄を自分で選別する手間暇が省けます。商品の選び方についても、今度まとめますね。
 
とにかく、10年以上運用を続けられるお金、それが長期資金となります。
 
 
◆3つのお財布を上手にコントロールする
 
では、具体的にどのように管理していくのか、例をみてみましょう。
 
 
【GOAL】
・子どもの私立大学の費用 870万円
・家の修繕 100万円
・老後の生活費 月30万円
 
【条件】
・家族構成:世帯主45歳、配偶者42歳、子15歳
・年収(税込):世帯主720万円(~60歳)、480万円(~65歳)/配偶者120万円(~60歳)
・貯蓄    :1000万円
・退職金   :1000万円(60歳時)
・支出(生活費):480万円(~52歳)、384万円(~59歳)、360万円(60歳~)
 

・短期資金:500万円
・中期資金:大学費用870万円、家修繕費100万円
・長期資金の目標運用利回り:3%
 
 
【図表2】

 

まず、短期資金として、貯蓄1000万円のうち、500万円を確保します。中期資金は貯蓄の残り500万円とします。しかし、中期資金は今後10年間で970万円必要なため、現時点ではまだ足りません。今後の収支から積み立てていくことにしましょう。長期資金は、45歳時点ではまだありません。
 
中期資金は、積み上げながら使っていきます。そして、お子さまの学費と家の修繕費用が終わると、ゼロとなります。中期資金の積み上げが終わると、次は長期資金を積み上げていきます。
 
この方の場合は、リタイアする65歳まではまだ時間があるため、お子さまの学費が終わってからでも十分リタイア費用を積み上げることができます。
 
リタイアした後の毎年の収支は-150万円程度となります。しかし、積み上がった資産をしっかりと運用していけば、資産は減少することなく、逆に増えていく試算となりました。
 
 
図表3は、資産を運用した場合と、しなかった場合を比較したものです(運用利回り以外の条件は同じ)。資産の推移が、全く異なる形になることが分かります。
 
【図表3】

 
 
長期資金を運用した場合は、世帯主が90歳になるころには7000万円以上に増えています。しかし、全く運用しなかった場合は、配偶者が100歳になる前に資産寿命が尽きてしまいます。
 
ここでは、シミュレーションをシンプルにするため、介護費用や認知症への対策などは考慮していません。なので、実際はもっと資産残高は苦しくなる可能性もあります。
 
もちろん、目標の運用利回りは、将来確定されているものではありません。しかし、3%という利回りで、資産残高がこれほどまでに変わってくる、ということは知っておくべき事実だと思います。
 
 
 
まとめ
 
・お金は短期・中期・長期の時間軸で管理する
・短期資金は生活費・緊急時のお金
・中期資金は10年以内のゴールのお金
・運用するのは長期資金
 
 
【参考】
◆お金の使い方はこちら↓
将来のために今のお金をコントロールする(前編:お金の使い方)
 
◆「ゴールベース資産形成」についてはこちら↓
ゴールベース資産形成とは、未来の視点から今の資産を整えていくこと
 

執筆:2020年9月30日

将来のために今のお金をコントロールする(前編:お金の使い方)


 
 
こんにちは、ファイナンシャルプランナーの工藤清美です。
 
ゴールベース資産形成とは、ご自身のゴール、つまり、夢や目標から逆算して資産形成をしていく手法です。
 
ゴールベース資産形成を実現するためには、次の3ステップが重要です。
 
1)自分を知る
2)お金をコントロールする
3)投資の原理原則を知る
 
今回はこの3ステップのち、「お金をコントロールする」について、みていきましょう。
 
お金のコントロールには「お金の使い方」と「お金の管理の仕方」の2つのコントロールがあります。まずは前編として、お金の使い方についてみていきます。
 
 
・準備がなければ高いゴールにはたどり着けない
 
ゴールベース資産形成を実現するためには、将来のために、今のお金をコントロールしていく必要があります。
 
もし、あなたが富士山に登りたいと思ったら、富士山に登るためのルートを調べたり、出発予定日の天候や気温を調べたり、どのような服装や靴でいくべきか、何も持っていくべきか、色々と調べますよね? 登ったことがある人の話を聞く、ということをするかもしれません。
 
逆に、登山初心者が、このような準備もせずに、たった一人で富士山に登ろうとしたら、これはとても危険なことにもなりかねません。お散歩がてら、富士山に登ることはできないのです。
 
資産形成も同じです。もし、それなりの高いゴールを望むのならば、そのゴールのために今から準備をする必要があります。
 
では、どのような準備が必要なのでしょうか?
 
 
・今のままで、ゴールが実現できるのか?
 
今のままでゴールが実現できるかどうかを、まず、確認する必要があります。
 
弊社では、キャッシュフロー表(CF表)という、資産残高の推移がわかる図表を作成し、あなたの資産がこの先どのように動いていくのかを見える化していきます。現状のままで資産が将来的にショートしないか、つまり、資産寿命が尽きてしまわないか、を確認するのです。
 
今のままでやりたいことが実現でき、100歳まで資産寿命が続いていくのならば、そのままやっていけばよいし、途中で資産寿命が尽きてしまうのならば、何らかの対策が必要ということになります。
 
 
例)対策前後の資産残高推移

 
 
・資産を増やす方法は3つある
 
資産を増やす方法は3つあります。逆に言うと、この3つしかありません。
 
・収入を増やす
・支出を減らす
・運用する
 
ゴールを実現するために、途中で資産寿命が尽きてしまうのならば、上記3つの中で、何をどのようにコントロールしていくべきなのかを考えていきます。
 
3つの中で、まず、あなたは何ができそうですか? 
 
自分でやってみて、一番効果が出そうなものはどれですか? 
 
もちろん、3つ全てをやった方が良いのですが、まずは一番効果が出やすいものから手を付けていく、という方法でも大丈夫です。
 
「頑張れば収入が増やせる」という環境にいるのならば、そこを一生懸命やり、稼ぐ力である「人的資本」を引き上げていく、という方法もあります。
 
「今、そこそこ稼いでいるのだけれど、なかなか貯まらない」というのならば、支出を見直すということが、資産を増やすのに一番効果があるかもしれません。
 
そして、運用する、というのもあります。
 
まず、資産を増やす3つの方法のなかで、自分がやるべきことは何か、どのようにコントロールしていくべきかを考えてみましょう。
 
 
・支出には2つの視点がある
 
支出のコントロールには、大きく分けて2つの視点があります。1つは、「日々の支出をコントロールする」ということ。そして、もう一つは、「人生の3大支出をコントロールする」ということです。それぞれ、みてみましょう。
 
 
・日々の支出をコントロールする
 
まずは、日々の支出についてです。
 
日々の支出のコントロールは、ゴールを実現するためには、毎年どのくらい資産を積み上げていけばいいのか、という視点から考えていきます。そして、現状とのギャップを認識してみましょう。
 
今だけをみるのではなく、将来から今をみていく、これがゴールベース資産形成ではとても重要です。
 
例)
年齢30歳
現在の預貯金 500万円
65歳時点のゴール 5000万円
 
上記の例をみてみましょう。ゴールが「65歳時点で5000万円を貯めたい」というものだったとします。今の貯蓄額は500万円、65歳まで35年間あります。
 
単に貯蓄だけをしていった場合は、毎月10万円積み立てたとしても、65歳時点で4700万円です。確かに、ゴールには近づいていますが、「月10万円の積立は難しい」というケースもあるかもしれません。
 
では、仮に利回り3%で運用したとすると、毎月5万円の積立で、35年後には5000万円を達成することができます。
 
でも、「3%の利回りをどのように実現していけばいいの…?」も気になりますよね。こちらについても、おいおい、書いていきたいと思います。
 
毎月5万円の積立で、ゴールの5000万円が達成できるとわかれば、「その5万円をどのように作っていくか」ということを考えていきます。
 
そして、無駄遣いをしているところがあれば切り詰める、固定費を見直すなど、細かな対策を考えていきます。このような順番で、日々の収支をコンロトールしていくのです。
 
ゴールが明確になれば、やるべき行動も明確になります。そして、「節約をする」という行為も、「将来の5000万円のため!」というゴールが明確であれば、それほど苦しいものではないはずです。
 
理想と現実でどのくらいのギャップがあるのか、そのギャップは努力で埋められる程度なのか、を考えてみましょう。また、運用した場合、運用しなかった場合、などいくつかのケースを検討してみることも必要です。
 
 
・人生の3大支出をコントロールする
 

 
次に、「人生の3大支出」という視点から、お金について考えていきます。
 
人生の3大支出とは、「教育費」「住居費」「老後のお金」です。この3大支出は、どこかに大きく偏ってしまうと、どこかが足りなくなってしまう可能性があります。人生の3大支出は、バランスがとても重要なのです。
 
例えば、子どもにたくさん習い事をさせたり、私立に通わせたりして、支出が大きく教育費に偏ってしまった場合、住宅ローンの支払いが厳しくなったり、希望の住宅が購入できなくなったりする可能性があります。
 
逆に、子どもが小さいときに住宅ローンを借りれるだけ借りてしまうと、子どもの教育費が一番かかる大学時の支払いが苦しくなってしまう、ということも考えられます。
 
そして、教育費、住居費にお金をかけすぎてしまい、現役時代に十分な資産をつくれなかった場合には、老後のお金が足りなくなってしまう、ということにもなりかねません。退職を間近にしてそのことに気が付いたとしても、もうそのときには手遅れ…ということにもなりかねません。
 
また、今は晩婚化が進んでいるため、子どもが大学に進学するときに世帯主が退職を迎え、老後のお金を貯える時間がない、という現象も起きています。
 
人生の3大支出のうち、何にどれだけお金をかけていくのかを決めるには、それぞれのご家庭の価値観、考え方がとても重要です。ぜひ、ご家庭、ご夫婦で話し合い、価値観を共有してみて下さい。そして、ゴールの優先順位を確認してみましょう。
 
人生の3大支出のうち、何にどれだけお金が必要なのか、どれだけお金をかけられるのか、を把握することも大切です。
 
必要なものにはしっかりとお金をかけ、必要のないものはやめる、きりつめる、という取捨選択も、ゴールを手に入れるための一つの方法です。
 
「人生の3大支出」という大きな視点から、支出をコントロールするという方法も、ぜひ取り入れてみてください。
 
 
まとめ
・お金のコントロールには「お金の使い方」と「お金の管理の仕方」の2つのコントロールがある
 
・お金を増やす方法は3つ「収入をふやす」「支出を減らす」「運用する」
 
・支出のコンロトールには「日々の支出のコントロール」と「人生3大支出のコントロール」の2つの視点がある
 
・日々の支出のコントロールは、ゴールから逆算して考える
 
・人生3大支出のコントロールは、価値観、優先順位が大切
 
 
【参考】
◆お金の管理の仕方はこちら↓
お金は3つの財布で管理する(後編:お金の管理の仕方)
 
◆「ゴールベース資産形成」についてはこちら↓
ゴールベース資産形成とは、未来の視点から今の資産を整えていくこと
 
◆「人的資本」についてはこちら↓
人的資本・稼ぐ力を高め、ゴールベース資産形成を実現しよう!
 
◆「自分を知る」についてはこちら↓
ゴールベース資産形成を実現すための3ステップとは?
 
執筆:2020年9月10日